オラこんな国いやだ〜ババアの横暴編〜

2015年8月25日15時10分、ドバイを経てロシアはサンクトペテルブルグ・プルコヴォ空港へ降り立った。出発前の関空でのチェックインの際、預け入れ荷物が大幅に制限重量を超えておりの9kg分の超過料金約65,000円をエミレーツ航空にぶんどられ、最高のスタードダッシュを切ったこの留学生活も残すところあと1週間足らずとなった。明日の15時10分には母親がペテルブルグへやってくる。10ヶ月前の私と全く同じ足取りだ。ドバイでの乗り継ぎと入国審査だけが心配。一応「サイトシーイング」「フォー シックスデイズ」だけ教えておいた。ロシアの入国審査官は外国人だろうが問答無用でロシア語で話しかけてくるのでおそらく役に立たないと思うが、念のため。バックパック一つで来るので超過料金は取られないで済みそう。この旅行のためにノースフェイスで買ったらしい。私の使ってるリュックもノースフェイスだ。以前、ロシア人の友達に「それ、本物?」と聞かれた。本物じゃい!ノースフェイスの偽物まであるのかよ。そういえば前にバスでどっからどう見てもCalvin KleinのGalvin Kleinの座布団を見た。こういう見てるこっちが恥ずかしくなるような偽物ブランドを恥ずかしげもなく使っちゃうのがロシア人だ。

 

さて、留学生活も終わりが近づき、周りの留学生たちもちらほら帰国し始めた。普通は留学終盤になるとSNSなんかで「まだ帰りたくない」「さみしい」だの言うもんである。当然のことだ。見知らぬ土地に来て、大切な友達に出会い、現地の人々のあたたかさにふれ、色んな困難を乗り越えながら暮らしてきた10ヶ月。最初こそ早く帰りたかったけど今ではここが私の第二の故郷です。ロシアだ〜いすき!んなわけね〜だろ。さっさと帰りたい。これは留学開始から今日、おそらくロシアを出国するその日まで一貫して変わらない私の思いである。ていうか大体の留学生(※現地で恋人をこさえた者を除く)がそうだと思う。日に日に増すロシアへの不信感。底なしの憎悪。ロシアの嫌なところ、おかしいところ、マジぶっ殺したいところは挙げるとキリがない。あまりにも長くなりそうなのでいくつかのテーマに分けてご紹介したいと思う。

 

 

ババアの横暴

ロシアには2種類の生き物が生息している。Бабушкаとそれ以外である。

Бабушкаーバーブシュカ、と読む。意味はババア。おばあちゃんなんてかわいらしいもんではない。もっとおぞましい生き物だ。ロシアの不愉快な仲間たち筆頭がこのババアである。まず簡単にバーブシュカの生態を説明しよう。第一に奴らはデカい。声、態度、容積、どれを取ってもXXLサイズだ。もうそういう専門のお店に行かないとお取り扱いしてないレベルのババア。めちゃくちゃ図々しい。人の話を聞かない。ヒスリック。以下、私がロシアで振る舞われたババアの横暴の数々である。

 

バーガーババア

昨年10月ごろ、最寄りの地下鉄駅近くのバーガーキングで出会ったババア。口元に怪しい微笑みを浮かべ食事中の我々に接触。わけのわからないうわごとを繰り返した挙げ句私の手元からジュース、友人たちからポテトとハンバーガーを奪い取った山賊ババア。この事件の後、ロシアではお金がなさすぎて精神病院の患者をどんどん退院させてるというニュースを見た。今思えば身寄りもなく人のぬくもりに飢えた悲しいババアだったのかもしれないが留学初期のいたいけなわたしたちにトラウマを植え付けた罪は重い。

 

リネンババア

私の住む留学生寮のリネン室にいるババア。普段は温厚で仕事もきっちりやるが少しでも営業時間を過ぎてからリネン室を訪れるとブチ切れる。「ここに17時45分までって書いてあるでしょ???!!!!!!!」そんなに怒らなくてもいいのに。でもシーツは交換してくれた。比較的優良なババアである。

 

ランドリーババア

おなじく寮のランドリー室にいるババア。デスノートのレムみたいな瀕死のババアと赤毛のデカくて愛想のいいババアの2タイプがいる。

前者は年のせいか耳が遠く忘れっぽい。たまにレセプションにいる。「55Cの鍵ください」と言うと「ない」と言われる。ルームメイトが先に帰ってるのかと思い部屋に戻るも誰もいない。もう一度レセプションで「55Cください」と言うとめんどくさそうに鍵を手渡された。なんで嘘ついたの?!まず探して!!

後者はいつも笑顔でロシア語が達者でない留学生にも優しく対応してくれるいいババア、だと思っていたが事件が起きた。私の寮のランドリーはその場で会計できず、заявлениеなる申込書を書いた上で寮の管理人に領収書を発行してもらい別の学生寮にある窓口か銀行で支払いをしなければならない。めんどくさいシステムである。以前私がここのランドリーで洗濯した際、どうもこのババアは私とルームメイトを勘違いしたらしく、私でなくルームメイトの名でзаявлениеを発行してしまった。私はそのことに気づかず私の名をサインをした。後日ルームメイトがランドリーに行ったところ、そのババアに「以前の分の支払いができてないから洗濯できない」と言われたらしい。заявлениеは3枚溜まると強制的に支払いをしなければならないことになっている。彼女はまだ2枚分しかないはずなのに「お前はもう3枚溜まってる」とババアは主張する。「そんなはずない!」抗議しても無駄だった。「ここにちゃんと3回分の日付けが書いてある」「お前がなくしたんじゃないのか?」後日、私の持っているзаявлениеの申込者の名前がルームメイトの名前になっていることに気づき何が起こっているのか発覚した。とにかく私はルームメイトの名前になってしまっていたものを含んだ本来払うべき3回分の洗濯代を支払った。それでもババアは自分の過ちを認めず「なんでもいいからとにかく払え」の一点張り。ここまでくるともう我々に勝ち目はない。ババアの強大な力の前にただただひれ伏すしかなかった。呪い殺す。

 

寮管理ババア

寮の管理人のババア。寮費の払い込み期限にうるさい。一日でも遅れるとブチ切れる。声でかい。目つき悪すぎ。服が派手。ピンク着んなバーカ!灰色でも着てろ!

「なんで払ってなかったの?昨日までなんだけど」

「はあ...すんません...」

すんませんじゃねんだよ!!!!!!!

「ヒェッ...はい...すんませんした... あの...忘れてて...」

「忘れてただぁ〜〜〜〜〜???お前はトイレしたあと流すの忘れんのか???夜部屋の電気つけるの忘れんのか???"寮費"ってのはよォ〜〜〜〜そういう"期限までに払って当たり前のモン"なんだよォ〜〜〜〜〜〜アァ?!分かってんのか?!テメーの大学に『こいつは寮費の支払いもしないだらしない人間です』って電話してやろうかァ?あ〜決めた。絶対電話すっから。

絶対電話すっからな!!!!!!

「ウィッス」

 

公共交通機関ババア

バス・トラム・メトロに出没するババア。荷物もデカいがババアそのものも相当デカい。乗客で混み合う車内を肉団子みたいな図体を揺らしながら無意味にモリモリ移動したがる。一体どこに向かっているのだろう?以前メトロに乗っていた際、駅で一気に人が降りて5人分くらい席が空いたので一緒にいた友人と座ろうとしたら乗り込んできたババアが「はいありがとう!ありがとう!」と言いながら我々を押しのけ後から来る連れの分まで席をぶんどりよっこらせと満足げに座った。日本でも時たまこういうババアに遭遇することはあるがロシアのババアは「自分は年寄りだから譲られて当たり前」とかでなく「私が座りたいから座るんじゃい」という感じでとても力強い。ムカつくものはムカつくけど元気でいいな、とも思う。でもやっぱりムカつく。

 

次回は悲しきロシアの男たち編です。

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今は心穏やかに母親の到着を待ちたい。