イン・ザ・ムード

眠れない時間がきた。『パンドラの匣』の続きを読み始めてすぐに入眠のムードでないことに気づき『草枕』に移行した。自分の中で、寝る前に読む本はめちゃくちゃにセンチメンタルか難解じゃなきゃいけないというルールがある。パンドラの匣はまだ序盤だが、タイトルに反して快活で汗臭い話だった。草枕は難解というか、いちいち単語を辞書で引くのが煩わしくなってしまった。『夜汽車の食堂』良さげなタイトル、作者は中原中也、申し分ない。詩かと思ったらめっちゃ短い童話だった。雰囲気は良かったがいかんせん短すぎたので余韻が尾を引く間も無く白けてしまった。ここで最終手段『般若心経講義』である。かなり噛み砕いて解説されているのでそれほど難解でもなくフンフンなるほどねと読み進められるが、空やら智やらなんかまあボンヤリしてるのでだんだんア〜なんの話だったっけ…となる。不思議と眠くはならないがすんなり眠りのムードに入れる。そうして寝たのが0時半すぎ。目が覚めて携帯をつけたのが2時ごろ。目が覚めたと言ってもパッチリスッキリ起床したわけじゃなくて気がついたら意識があって寝れない寝れないとそればっかり考えている。眠れない時に寝よう寝ようと考えると脳がさあ何が何でも寝てやるぞオラ!モードになってしまってなかなか寝れない。妄想もマジになってしまうので逆効果。照明を消すみたいにして脳のスイッチを切にしてプツンと寝てしまえればいいのにってみんな一度は考えたことがあると思う。でも人生で一番気持ちいいのは寝ちゃダメ寝ちゃダメと思いながら強制終了されるあの瞬間だと思う。スイッチ制にすると寝れない夜のモヤモヤはなくなるけど同時に人生で一番気持ちいい瞬間も失われてしまうのでイヤだ。さくらももこは寝るときには青色のことを考えるらしい。素敵だからやってみたいけどこういうのは人の真似ではいけない。自分の哲学に寄り添う必要がある。要検討。関係ないけどさっきまで落ち着かなかった二段ベッドの下の男性がどうやら寝たらしい。やたらベッドがギシギシいうのでオナニーでもしてるのかと思ってた。スッキリしたら眠くなったのかな。ベイビーレモネードホステル6番ベッド。車と酔っ払いの往来はひっきりなしで自分が道路のど真ん中で寝てんじゃないかってくらいうるさい。夢みたいな名前のホステルなのに。ピンク色の海に浮かぶ私を近くに建つホテルのオーナーの老夫婦が見下ろしている夢を見たことがある。あれは最高の夢だった。テーマはスピッツの『甘い手』ベイビーレモネードホステル5番ベッド。

まだ眠くない。f:id:hem505:20160625085933j:plain