フェルメール展でケツ揉むな

フェルメール展に行った。日時指定制にも関わらず、入場には長い列ができていた。列に並んでいるあいだ、後ろの親子の会話を聞いていた。大学生と思しき息子がコンタクトにするやしないやでうだうだ文句を垂れている。最初は「コンタクトは目が乾くんだよ!」みたいなことを言っていたのに、突然「瞬きしてる暇もないの!」と言い出してカッコよかった。閃光少年だ。明日まで電池を残す考えなんてないけど日曜日にお母さんとフェルメール展に行く考えはあるのだ。抱きしめたい。コンタクトを糾弾しまくる息子に「じゃあJINS行こ〜」と母親が全く相手にしていなかったのもCOOLだった。ちらっと振り返って見てみたら息子メガネかけてた。JINS行かなくてよくね?フェルメール展は当日券で2700円。たっけ。前澤友作の秒給?チケットが高いぶん、入り口では「牛乳を注ぐ女」の栞と作品解説のブックレットがもらえる。通常なら500円くらいするオーディオガイドも無料だ。ナビゲーターは石原さとみ。興味ね〜。土井善晴がよかった。中は想像通りの混雑ぶり。全体的に年齢層は高かったけど、小さな子どもを連れた家族もたくさんいた。子どもたちは暴れたり騒いだりすることなくつまんなそうに鑑賞していて、えらかった。それよりも中年のカップルが目に余った。彼氏が彼女のケツを揉みまくる。上野の森美術館で絵もそこそこに40過ぎた彼女のケツを揉むのはこの男〜!(エンタの神様)17世紀のオランダの貴族たちの肖像画、モミモミ。嵐の海、モミモミ。レンブラントの弟子だ〜、モミモミ。コラーーーー!!!絵を見ろ!見ながら揉むな!テレビ見ながらご飯食べるのやめなさい!絵か尻どっちかにしなさい!両立すんな!ケツ揉んでるカップルに気を取られていると突如おっぱい丸出しの女性の絵が現れて小パニックになった。「ひいおばあちゃんの乳首もこんな色やったよ」お母さんからのクチコミ。小鶴の乳首情報やめて。フェルメールを見に来たはずなのに。真珠の耳飾りの少女、牛乳を注ぐ女、彼女のケツを揉む男、乳首がピンクのひいばあちゃん。目録が終わってる。あ、でもフェルメールの絵は素晴らしかった。感動しました。歳をとると乳首がピンクになるそうです。老後に期待を込めて★5です。

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本棚が決められない

本棚を買いたい。引っ越しした時からずっと買いたい。上京する2週間前、最低限の家具だけをニトリでまとめて買った。もちろんニトリだ。お、ねだんいじょう。信頼してるぞ。ニトリの家具は基本自分で組み立てる。だからその家具の「お、ねだんいじょう度」の半分くらいは組み立て手(くみたてて)が責任を負っている。ニトリで買った椅子、ふつうに使ってただけなのにネジが2本ほど外れた。私はふつうに使ってただけなのに…と言いながらあらゆる物体を破壊してきた女。昨日はベッドから謎の木の板が剥がれ落ちてきた。見覚えがない。台風の影響だろうか。繊細なのだ、ニトリの家具は。一人暮らしの部屋用に、私はニトリでローテーブルを買った。シャビーな雰囲気がお洒落なローテーブル。平たく言うとテレビ台だが、平たく言いたくないので頑としてローテーブルと言い張る。一段だけ棚になっているので、そこに漫画や小説を収納することにした。そのため、実家から持ってくる漫画は厳選した。400冊近くある蔵書からかなり吟味して、この漫画がすごい!ALL TIMES BESTを持ってきた。ただ、気になる作家の漫画が出たら買い、追いかけている連載の新刊が出たら買い、帰省するたびに実家にある漫画を持って帰ったりを繰り返しているうちにあっという間にローテーブルには収まりきらない量になってしまった。飽和状態だ。そのうえ今さらスラムダンク(愛蔵版)を集め始めるのだからタチが悪い。でも漫画はどうしても紙で読みたい。帯をなくしたい。カバーをめくりたい。だから私は紙媒体で漫画を買うのをやめない。溢れそうな漫画たちをどうすれば良いか。床に置くなんてことはできない。どこかに仕舞わなければ。簡単だ。本棚を買えば良い。どうせ懲りずに漫画を買い続けるだろう。最近は漫画に加え、中野に良い古本屋を見つけてしまい、歌集やら詩集やらをバカスカ買っている。そのうちその本棚にも収まりきらなくなる。その時はまた新しく本棚を買えばいい。しょっぱいウィンチェスターハウスみたいだ。行き当たりばったりが私のチャームポイント。亥年の女やさかい…。だから、本棚を探している。候補は3つ。ニトリ、通販、その他ヴィンテージの家具屋。IKEAは車がないと利用しづらいので候補に挙がらない。車というか車を出してIKEAに一緒に行ってくれる友人がいない。こんな悲しいこと私に言わせないでほしい。私の部屋は6畳の1K。狭い。もうこれ以上物を置く場所など残されていない。それでも私は本棚を置きたい。動線など知るか。どけ、私が通る。ニトリは本棚とラックのカテゴリは一通り目を通したが目ぼしいものはなかった。できればローテーブルと同じ風合いの本棚がほしい。(地震が怖いので)高さは1メートル未満の平べったいやつ。が、いくら探してもニトリには見当たらなかった。仕方ない。諦めて他を当たる。次に家の近くにある家具屋の通販サイトを覗いた。上京後、テーブルがないことに気づいてあわてて買ったのがここだ。上から見るとそら豆のような形でかわいい。壊滅的に物が置けないことに目をつぶれば、なかなか気に入っている。ここで、おっ!と思う本棚を見つけた。高さは1メートル未満、奥行きそこそこ。幅は普通だが、なんと、伸びる。うまく説明できないが、棚の部分が入れ子になっていて、ビヨ〜ンと伸びるのだ。説明文には収納力が2倍になると書かれていた。2倍!す、すごい。漫画買い放題だ(そんなことはない)。値段も安い。風合いはまあ、それなり。お、ねだんどおり。ニトリは偉大なのだ。実店舗がすぐ近くにあるので実物を見に行った。導かれるようにその本棚へたどり着いた。「何かお探しですか?」お姉さん、探してるんじゃない。私たちは惹かれあっているんです。邪魔しないでください。実物は良くも悪くも写真通りといった感じで驚きも感動もなかった。ほとんど心が決まりかけていたが、あいにく手持ちがない。お給料日までお預けだ。在庫はあるようだし、それまで待っててね。必ず迎えに来るからね…そうこうしているうちに給料日を迎えた。いざ!と思った矢先、運命の出会いを果たしてしまった。何気なくgoogleで「ヴィンテージ 本棚」と画像検索したところ、なんの変哲も無い木製の本棚を見つけた。小学校の教室に1つはある、カビ臭い本棚。二十四の瞳とか置いてあるやつ。まさにあれだ。収納力は普通。勘違いしないでほしい。これがショボいのではない。2倍になるのがすごいのだ。もちろん入れ子にはなってないし、特別なギミックは何もない。学級文庫の置いてある本棚としか言いようがない本棚。だがそこにどうしようもなく惹かれた。買おう。買うぞ。よし、今夜お前を買う。購入手続きを進める。名前と住所を入力する。日付を指定する。入金方法は銀行振込。よし。最終確認のページまでたどり着いた。このボタンを押せば学級文庫は私の手に。

 

だが、その先に進めない。何をためらっている。この本棚はニトリやIKEAとは違う。ヴィンテージだ。一点ものだ。今逃せば明日には他の誰かが購入してしまうかもしれない。そしたらもう二度と私のところへ来ることはない。何度もブラウザを閉じては開き、閉じては開きを繰り返す。いつのまにかカートが空になっている。まさか他の誰かが!?あわてて商品を探す。あった。カートに入れる。名前と住所を入力する。日付を指定する。入金は銀行振込。よし。購入を確定しろ。確定しなさい。確定…。ブラウザを閉じては開く。カートが空になっている…私はきっと、これ以上の本棚には出会えないと思う。なのに、何を期待しているんだ。思えば、いつもこうやって色んなチャンスを逃してきたような気がする。もっといい機会がある。もっといい人がいる。もっといい物がある。私が確定ボタンを押せずにいる間に、カートは空になっていた。だが、今回は違う。この記事を書き終えたら、私はこの本棚を買う。なぜなら今、私は酔っ払っている。この勢いでなら購入を確定できる。セクシーペルシャゴリラの名にかけて。

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光彦ギリいける

少年探偵団が嫌いだ。クソガキどもが、漢字ドリルでもやってろと思っている。全員嫌いなわけじゃない。哀ちゃんとコナンくんは好きだ。哀ちゃんはコナンのキャラクターの中で一番好き。小学生の頃のハンドルネームは哀ちゃんの哀だった。みんなあったでしょ、そういう時期が。CLAMPファン掲示板のみんなに哀ちゃんって呼ばれて悦に浸ってた。そこで仲良くなった中3の女の子と何回か文通したんだけど、なぜかその子の友達とも文通することになって全然知らない滋賀県の中学生から阪神タイガースの選手のトレーディングカードみたいなやつが送られてきたことがあった。あのときはビビって返事できなくてごめんなさい。歩美ちゃん。絶対仲良くなれないタイプだと思う。歩美ちゃんはきっと私のような女のことをバカにしてるし、私も歩美ちゃんのような女のことを軽蔑している。劇場版で「コナンくんの隣にいると心臓のドキドキで1秒1秒を正確にカウントできる」と言った時、でかい声が出た。怖いんだよ。

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吉田CASIO歩美

大学生になって少年探偵団で鳥貴族に行ったら「えー!哀ちゃん、ビール飲めるなんてオトナだねー!歩美はすぐ真っ赤になっちゃうからダメなんだー」とか言ってトリキオリジナルミックスジュースを飲んでる歩美ちゃんの姿が目に浮かぶ。本当はそこそこ飲めるから女だけの飲み会では後半ずっとZIMAのくせに。なんだかんだ合コンは誘ってくれるけど行ったら行ったで「今日雰囲気違う〜笑 」と言ってくる。「普段スカートとか履かないのにね!」うるせえな。ほっとけ。合コンは一回一回が真剣勝負なんだよ。おい、手で顔をパタパタ仰ぐな。「ねえ顔赤くなってない?」なってねえよ。鏡見ろよ。あんだろ。鏡。アナスイのでっかい蝶の鏡がよ。カラオケで気まぐれロマンティックばっか歌いやがって。踊んな。「歩美これ踊れる〜!」じゃないよ。全員踊れんだよ。一番踊ってるわ。でも毎年誕生日は覚えててくれて絶対自分じゃ買わないフランフランの入浴剤とかくれそうで嫌いにはなれない。歩美ちゃん。 「今度歩美の服選んで〜!」それは無理。

 

次に元太。ごめん、マジで嫌い。小1相手に大人げないけど、元太だけは…すいません。顔を思い出しただけで舌打ちしてしまう。スーパーのハムソーセージコーナーの試食5往復くらいしてそう。すぐうな重換算させようとすんのもウザいし。「うな重何杯分だあ〜??」は?Excelでやれよ。てか小1のくせにうな重食ったことあんのかよ、生意気。実家自営業(酒屋)だし、わりと裕福なのかな。私がはじめてうな重食べたのなんて成人してからだったんだけど。成人済み 鰻済み(腐女子のツイッター) それまでずっとアナゴの蒲焼きを鰻だと思い込んで食べてた。子どもが小さいうちから贅沢させすぎるのも考えものですね…元太のようになって欲しくないので…。こういうのがいるからウナギは絶滅するんだよ。元太に「お前のせいでウナギが絶滅する、お前もお前以外の人間も二度とうな重を食えない。全部お前の身勝手な行いのせいだ」って伝えて泣かそうかな。「ひでーぞ!うな重食いてーぞ!」ハハ ゆかいゆかい。そもそも所属するコミュニティ間違えてないか。元太、探偵団ではないだろ。無理すんなよ。ほんとにやりたいこと言ってみろよ。「ビーダマンです。」そうだよな。バトルビーダマンだよな。

しゃらくさい探偵ごっこなんてやめなよ。私が元太の親だったらめっちゃ心配してる。ただでさえバカだし要領よくないのに、事件に巻き込まれて危ない目にあってほしくない。そうじゃなくても殺人現場とか見ちゃったら一生トラウマになるじゃん。少年探偵団はもうバグっちゃってるから死体見ても「キャーーーー!!!…さてと、いっちょやったりますか」みたいな感じになってるけど。取り返しのつかないところまできてるよね。かわいそうに…関係ないけど元太のwikipediaを見ていたら「岐阜に伯父がいる」とかいう死ぬほどどうでもいい情報が目に入った。私はこんなことを知るために生まれてきたんじゃない。

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I'm UNAJU's child  

この腐敗した世界にうな重何杯分だ〜!?

 

最後に光彦。いちいち鼻につく。シャツの襟を立てないで。やたらと黄緑を着るのはなぜだい?小池百合子支持?子どもが常時敬語は気味悪いからやめたほうがいいよ。あと前から気になってたんだけどコイツいっちょまえに二股してない?二股っていうか歩美ちゃんと哀ちゃんの両方に想いを寄せてますよね。いや生意気生意気。鏡見たことおありで?あんまり容姿のこと言いたくないけど………ねえ?頭の形が源氏パイ、ですよね…。

 

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コナンくんには劣るとはいえ小1にしては頭がよすぎる。wikipediaによる

「経済情報にも通じており、東都水族館に鈴木財閥の資本が入っていることを知っていた」らしい。すごすぎ。そんな東急リバブルのCMみたいなことあるんだ。(あのCM怖いよね)   その頭の良さゆえにコナンくんや哀ちゃんと同じ薬を飲んで小さくなった組織の黒幕説でてるらしいけど、絶対違う。そのへんの私大の文学部(ドイツ文学科)だと思う。ラインのひとことがドイツ語。センターの現代文だけやたら点数良いタイプの、別に他の教科はそこまで良くない偏差値54くらいの大学生。中学生から2ちゃんのまとめサイトばっか見てたから思想も偏ってるし。画像見て笑ったら寝ろ。ツイッターでバズったツイートにクソしょーもない画像でリプライ送ってんだろうな。泣けてきた…。血迷ってLINEスタンプとか作ってそう。それはちょっと欲しいけど……。ただCASIO歩美とガッズチャイルド元太に比べると光彦のことはそこまで嫌いじゃない。生意気だしこまっしゃくれたガキだなとは思うけど(嫌いでは?)、いちばん常識はあるし、頭もいいし、上品だし、好感が持てる部分もある。あとこれは知らなかったんだけど光彦は運動神経もいいらしい。たしかに、運動部じゃないのにシャトルランでサッカー部とかバスケ部に混じって終盤まで健闘してるやつ、光彦みたいな顔してたな。色々言ったけど、光彦がもし私と同じ24歳だったら結構好きになっちゃう気がする。実家都内だし…。私は最初「なにこいつ?敬語オモロ(笑)」と思ってるんだけど、たまたま行った飲み会で光彦の前の席になって、ほかの皆は知らないようなツイッターのキモいノリで盛り上がるんだろうな。歩美ちゃんが「えー?光彦くん、スマイルプリキュアってなんのことー?」って聞いてくるけど無視。ねえ、2人で抜け出しちゃおっか。カラ鉄行ってニコニコ動画流星群全部原曲で歌お♡インターネットの海に沈もうよ。でも絶対進展しないな〜。だって光彦の好きなタイプって歩美ちゃん(かわいい系)と哀ちゃん(クール系美人)でしょ?私(猫ひろし系)じゃ太刀打ちできない。やだ、また私ばっかり舞い上がってる。それである日急にフラれるんだ。「僕たちただの友達ですよね?」 ウッ…2016年12月30日に当時デートしていた男性から突然長文ラインで「君が俺のことどう思ってるか分からないけど俺は仲の良い友達だと思ってるよ」とフラれたトラウマが…もうどんな顔して光彦に会ったらいいかわかんないよ。こんなことなら光彦のこと、好きになるんじゃなかった...ってなるからやっぱり光彦も無理。少年探偵団は解散。

 

 

メコン川ごときが私の悩みを解決できるわけがない

夏休みだ。ラオスに来ている。


首都ヴィエンチャンには目もくれず、ルアンパバーンへやって来た。ルアンパバーン。皆が間違えて覚えてるルパン3世の歌詞みたいな名前だ。ルアンパバーンは街全体が世界遺産になっていて、そこらじゅうにド派手な寺院がゴロゴロある。日本でいう京都みたいなところだが、いけすかない高飛車な雰囲気はない。決して京都がいけすかなくて高飛車な雰囲気だと言いたいわけではないので京都の人は匿名垢で攻撃したりしないでほしい。

 

ルアンパバーンでは人も動物も静かでのんびりしている。犬とか猫とかおじいちゃんとか、その辺の道ばたで寝てる。近づいても逃げない。観光地らしく客引きもあるにはあるが全然消極的だ。サバイディー?ボート?とブツブツ言いながら3歩くらいついてくるだけで、相手にされなければさっさと諦めてベンチに座ってしまう。24時間テレビの100kmマラソンばりに並走してくる梅田の客引きを見せてあげたい。お姉さん!居酒屋違いますか!居酒屋どうですか!すぐご案内できますんで!居酒屋決まってますか!居酒屋どうですか!やってるんで!うちどうですか!居酒屋!情報は与えず、ただただパワーで圧倒する。怖い政治みたいだ。


ルアンパバーンの見所はなんといってもその雄大な自然だと私は思う。初めて見るメコン川には感動した。でかい!茶色い!川幅広い!赤茶色の水は汚れてるわけではなく、もともとそういう色らしい。不思議と綺麗に感じる。


昨日の午前中はメコン川のほとりでぼーっとして過ごした。川の流れは結構早くて、見てるとだんだんねむたくなってくる。寝付けない時に思い出したい映像ナンバーワン。時折観光客を乗せたスロウボートがすべるように川面を流れていく。流れるというより流されるという言葉の方がふさわしい。とにかくメコン川は大きく、たおやかで、とうてい人間がかなうような相手ではない。


こういうスケールのでかい自然を前にしたときに、よく「自分の悩みなんてどうでもよくなった」とか「自分がちっぽけに思えた」とか言う人がいるけど、あれはウソだと思った。いや、その人は本当にそう思ったのかもしれないけど、お前の悩みはそんなもんかと言いたい。確かにメコン川には圧倒された。少なからずショックを受けたし、心も震えた。でもメコン川のスケールのでかさと私の悩みは全く別の問題だ。一緒にするな。

メコン川広い。彼氏ほしい。メコン川でかい。結婚したい。メコン川雄大。親を安心させたい。メコン川茶色い。仕事でうまくいきたい。メコン川たおやか。てか早く会社辞めたい。メコン川おだやか。日本を出たい。メコン川が流れる。フィンランドに住みたい。メコン川が流れる。絵が上手くなりたい。メコン川が流れる。大金持ちになりたい。メコン川が流れる。痩せたい。メコン川が流れる。小顔になりたい。メコン川が流れる。


悩みというか欲望だけど、私の欲望はメコン川の幅が広いとか文明の母だとか流れが淀みないくらいで忘れられるようなものではない。断じてない。メコン川を見てる間はある種のトリップ状態になっているからそのときは悩みなんてどうでもいいかもしれないが、目を離した途端自我と煩悩に襲われて道の真ん中で暴れたくなる。助けてくれ!!!!!ラオ語で助けてくれってなんて言うの?サバイディー(こんにちは)しか知らない。サバイディー!!!!!さっきもお寺で見た仏像が綾野剛似でムラムラしてしまった。終わってる。サバイディー!!!!昨日は夕焼けを見に登った丘で、隣に座ったカップルが手でつくったハートマークの中に夕日を収めて写真を撮っていて嫉妬で首がねじ切れそうだった。サバイディー!!!!ホテルのスタッフのお兄さんがかっこいい。サバイディー!!!!!自転車のサドル硬すぎサバイディー!!!!!でもさっきメコンクルーズの運転手に「君は結婚してないの?そんなに綺麗なのに」って言われちゃった…


サバイディー♡


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カマせ!魂のターンテーブル

6月5日、父方の祖母が亡くなった。2日遅れて留学先のロシアで訃報を知った。

 

昨年の夏頃に体調を崩し、2年ほど入居していた老人ホームから総合病院へ移った。余計な心配をかけてはいけないから、と祖母が留学中に亡くなっても私には知らせない約束だった。5月末に両親とスカイプで話したときには覚悟を決めるように、と言われていたので、ある程度心づもりは出来ていたつもりだった。でも、どれだけ準備しても人の死を受け入れるのは簡単じゃない。手を握ってあげたかった、ありがとうって言いたかった、最後の瞬間までそばにいてあげればよかった。6月末に祖母の遺影と一緒に母がロシアへやってきた。アマゾネスみたいに激しいおばあちゃんが見たこともないような穏やかな笑顔で映ってて、なんか泣けた。なんでも10年ほど前、公民館で遺影撮影会があったらしい。高そうな着物はCGだった。CGて!ハイテク老い。そういえば留学中、何度か死を覚悟する瞬間があったので、とっておきの自撮りを何枚か用意し遺影フォルダを作成していたが幸いにも役に立つことはなかった。【ロシア留学中に亡くなったこの女子大生かわいすぎワロタwwwwwww】っていうスレが立つこともなかった。いやそこは立てよ。嘘でも良いから立ってくれ。

 

帰国して実家を見てぶったまげた。玄関入ってすぐ左手の和室がクラブになってた。

おひな様の段飾りみたいな華やかな仏壇の中心にドンと置かれた祖母のコンピューターグラフィック遺影。その両脇にたつボンボリがめ〜っちゃくちゃ派手なのだ。七色の光りを放ちながらくるくる回る姿はまさしくミラーボウル。「おばあちゃんただいま〜!」スウェーデンで買ったミックスナッツの袋を供える母。ミックスナッツ!若い!こんなオーガニックなお供えものなかなかないと思う。「お腹空いた?バナナあるで!」お供え物のバナナをこちらによこす母。いや食べにくい!別に嫌いじゃないしむしろ好きなんだけどなんとなく食べにくいもの第一位であるところの仏壇に供えられていた小さめのバナナやめてくれ〜!普通に食べた。食い意地が道徳を殺した瞬間だ。

 

夕食の後は御詠歌タイムだ。西日本にある33カ所の霊場にまつわる短歌を故人の命日から四十九日まで毎日詠む。極楽までの道案内なんだって。ブラトップで御詠歌を詠んでいたら「乳首見えてる!」って母親に怒られた。御詠歌は乳首NGらしい。先に言っておいてほしかった。Tシャツを着て途中から参加したところ、母親の様子がおかしい。ところどころ詰まっていたと思ったら突然黙ってしまった。長旅の疲れが出たのかと思って「大丈夫?」と顔を覗き込んだところ、寝ていた。寝るな〜〜〜〜〜〜!!!道案内するんちゃうんかい!「気持ちよくなっちゃって・・・」いや御詠歌中にトリップすな!亡き祖母を偲んでしんみりした気持ちで詠んでたのに、テンパる母親が面白すぎて絶対に笑ってはいけない御詠歌24時になってしまった。「おばあちゃんもあんたの笑い声が聞けて喜んでるわ!」と母。もちろんその間もミラーボウルは回りっぱなし。部屋に鳴り響くグルーヴィーな鈴の音!チンチンチンチン!オンDJ実父!REC何の何?フリースタイルダンジョンの収録かと思った。終始和やかなムードではじめての御詠歌詠唱は終わった。こんなカジュアルな供養あるかよ?!もっと涙ながらにやるもんちゃうんかいと思ったけど、無理にでも笑顔で送り出そう!という気概が愉快で、ちょっと切なかった。

 

そして昨日無事四十九日を迎え、納骨を済ませた。ぴかぴかCG遺影のおばあちゃんは前に見たときよりもずっと綺麗だった。無事極楽ついたっぽい。よかった〜。

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イン・ザ・ムード

眠れない時間がきた。『パンドラの匣』の続きを読み始めてすぐに入眠のムードでないことに気づき『草枕』に移行した。自分の中で、寝る前に読む本はめちゃくちゃにセンチメンタルか難解じゃなきゃいけないというルールがある。パンドラの匣はまだ序盤だが、タイトルに反して快活で汗臭い話だった。草枕は難解というか、いちいち単語を辞書で引くのが煩わしくなってしまった。『夜汽車の食堂』良さげなタイトル、作者は中原中也、申し分ない。詩かと思ったらめっちゃ短い童話だった。雰囲気は良かったがいかんせん短すぎたので余韻が尾を引く間も無く白けてしまった。ここで最終手段『般若心経講義』である。かなり噛み砕いて解説されているのでそれほど難解でもなくフンフンなるほどねと読み進められるが、空やら智やらなんかまあボンヤリしてるのでだんだんア〜なんの話だったっけ…となる。不思議と眠くはならないがすんなり眠りのムードに入れる。そうして寝たのが0時半すぎ。目が覚めて携帯をつけたのが2時ごろ。目が覚めたと言ってもパッチリスッキリ起床したわけじゃなくて気がついたら意識があって寝れない寝れないとそればっかり考えている。眠れない時に寝よう寝ようと考えると脳がさあ何が何でも寝てやるぞオラ!モードになってしまってなかなか寝れない。妄想もマジになってしまうので逆効果。照明を消すみたいにして脳のスイッチを切にしてプツンと寝てしまえればいいのにってみんな一度は考えたことがあると思う。でも人生で一番気持ちいいのは寝ちゃダメ寝ちゃダメと思いながら強制終了されるあの瞬間だと思う。スイッチ制にすると寝れない夜のモヤモヤはなくなるけど同時に人生で一番気持ちいい瞬間も失われてしまうのでイヤだ。さくらももこは寝るときには青色のことを考えるらしい。素敵だからやってみたいけどこういうのは人の真似ではいけない。自分の哲学に寄り添う必要がある。要検討。関係ないけどさっきまで落ち着かなかった二段ベッドの下の男性がどうやら寝たらしい。やたらベッドがギシギシいうのでオナニーでもしてるのかと思ってた。スッキリしたら眠くなったのかな。ベイビーレモネードホステル6番ベッド。車と酔っ払いの往来はひっきりなしで自分が道路のど真ん中で寝てんじゃないかってくらいうるさい。夢みたいな名前のホステルなのに。ピンク色の海に浮かぶ私を近くに建つホテルのオーナーの老夫婦が見下ろしている夢を見たことがある。あれは最高の夢だった。テーマはスピッツの『甘い手』ベイビーレモネードホステル5番ベッド。

まだ眠くない。f:id:hem505:20160625085933j:plain


オラこんな国いやだ〜ババアの横暴編〜

2015年8月25日15時10分、ドバイを経てロシアはサンクトペテルブルグ・プルコヴォ空港へ降り立った。出発前の関空でのチェックインの際、預け入れ荷物が大幅に制限重量を超えておりの9kg分の超過料金約65,000円をエミレーツ航空にぶんどられ、最高のスタードダッシュを切ったこの留学生活も残すところあと1週間足らずとなった。明日の15時10分には母親がペテルブルグへやってくる。10ヶ月前の私と全く同じ足取りだ。ドバイでの乗り継ぎと入国審査だけが心配。一応「サイトシーイング」「フォー シックスデイズ」だけ教えておいた。ロシアの入国審査官は外国人だろうが問答無用でロシア語で話しかけてくるのでおそらく役に立たないと思うが、念のため。バックパック一つで来るので超過料金は取られないで済みそう。この旅行のためにノースフェイスで買ったらしい。私の使ってるリュックもノースフェイスだ。以前、ロシア人の友達に「それ、本物?」と聞かれた。本物じゃい!ノースフェイスの偽物まであるのかよ。そういえば前にバスでどっからどう見てもCalvin KleinのGalvin Kleinの座布団を見た。こういう見てるこっちが恥ずかしくなるような偽物ブランドを恥ずかしげもなく使っちゃうのがロシア人だ。

 

さて、留学生活も終わりが近づき、周りの留学生たちもちらほら帰国し始めた。普通は留学終盤になるとSNSなんかで「まだ帰りたくない」「さみしい」だの言うもんである。当然のことだ。見知らぬ土地に来て、大切な友達に出会い、現地の人々のあたたかさにふれ、色んな困難を乗り越えながら暮らしてきた10ヶ月。最初こそ早く帰りたかったけど今ではここが私の第二の故郷です。ロシアだ〜いすき!んなわけね〜だろ。さっさと帰りたい。これは留学開始から今日、おそらくロシアを出国するその日まで一貫して変わらない私の思いである。ていうか大体の留学生(※現地で恋人をこさえた者を除く)がそうだと思う。日に日に増すロシアへの不信感。底なしの憎悪。ロシアの嫌なところ、おかしいところ、マジぶっ殺したいところは挙げるとキリがない。あまりにも長くなりそうなのでいくつかのテーマに分けてご紹介したいと思う。

 

 

ババアの横暴

ロシアには2種類の生き物が生息している。Бабушкаとそれ以外である。

Бабушкаーバーブシュカ、と読む。意味はババア。おばあちゃんなんてかわいらしいもんではない。もっとおぞましい生き物だ。ロシアの不愉快な仲間たち筆頭がこのババアである。まず簡単にバーブシュカの生態を説明しよう。第一に奴らはデカい。声、態度、容積、どれを取ってもXXLサイズだ。もうそういう専門のお店に行かないとお取り扱いしてないレベルのババア。めちゃくちゃ図々しい。人の話を聞かない。ヒスリック。以下、私がロシアで振る舞われたババアの横暴の数々である。

 

バーガーババア

昨年10月ごろ、最寄りの地下鉄駅近くのバーガーキングで出会ったババア。口元に怪しい微笑みを浮かべ食事中の我々に接触。わけのわからないうわごとを繰り返した挙げ句私の手元からジュース、友人たちからポテトとハンバーガーを奪い取った山賊ババア。この事件の後、ロシアではお金がなさすぎて精神病院の患者をどんどん退院させてるというニュースを見た。今思えば身寄りもなく人のぬくもりに飢えた悲しいババアだったのかもしれないが留学初期のいたいけなわたしたちにトラウマを植え付けた罪は重い。

 

リネンババア

私の住む留学生寮のリネン室にいるババア。普段は温厚で仕事もきっちりやるが少しでも営業時間を過ぎてからリネン室を訪れるとブチ切れる。「ここに17時45分までって書いてあるでしょ???!!!!!!!」そんなに怒らなくてもいいのに。でもシーツは交換してくれた。比較的優良なババアである。

 

ランドリーババア

おなじく寮のランドリー室にいるババア。デスノートのレムみたいな瀕死のババアと赤毛のデカくて愛想のいいババアの2タイプがいる。

前者は年のせいか耳が遠く忘れっぽい。たまにレセプションにいる。「55Cの鍵ください」と言うと「ない」と言われる。ルームメイトが先に帰ってるのかと思い部屋に戻るも誰もいない。もう一度レセプションで「55Cください」と言うとめんどくさそうに鍵を手渡された。なんで嘘ついたの?!まず探して!!

後者はいつも笑顔でロシア語が達者でない留学生にも優しく対応してくれるいいババア、だと思っていたが事件が起きた。私の寮のランドリーはその場で会計できず、заявлениеなる申込書を書いた上で寮の管理人に領収書を発行してもらい別の学生寮にある窓口か銀行で支払いをしなければならない。めんどくさいシステムである。以前私がここのランドリーで洗濯した際、どうもこのババアは私とルームメイトを勘違いしたらしく、私でなくルームメイトの名でзаявлениеを発行してしまった。私はそのことに気づかず私の名をサインをした。後日ルームメイトがランドリーに行ったところ、そのババアに「以前の分の支払いができてないから洗濯できない」と言われたらしい。заявлениеは3枚溜まると強制的に支払いをしなければならないことになっている。彼女はまだ2枚分しかないはずなのに「お前はもう3枚溜まってる」とババアは主張する。「そんなはずない!」抗議しても無駄だった。「ここにちゃんと3回分の日付けが書いてある」「お前がなくしたんじゃないのか?」後日、私の持っているзаявлениеの申込者の名前がルームメイトの名前になっていることに気づき何が起こっているのか発覚した。とにかく私はルームメイトの名前になってしまっていたものを含んだ本来払うべき3回分の洗濯代を支払った。それでもババアは自分の過ちを認めず「なんでもいいからとにかく払え」の一点張り。ここまでくるともう我々に勝ち目はない。ババアの強大な力の前にただただひれ伏すしかなかった。呪い殺す。

 

寮管理ババア

寮の管理人のババア。寮費の払い込み期限にうるさい。一日でも遅れるとブチ切れる。声でかい。目つき悪すぎ。服が派手。ピンク着んなバーカ!灰色でも着てろ!

「なんで払ってなかったの?昨日までなんだけど」

「はあ...すんません...」

すんませんじゃねんだよ!!!!!!!

「ヒェッ...はい...すんませんした... あの...忘れてて...」

「忘れてただぁ〜〜〜〜〜???お前はトイレしたあと流すの忘れんのか???夜部屋の電気つけるの忘れんのか???"寮費"ってのはよォ〜〜〜〜そういう"期限までに払って当たり前のモン"なんだよォ〜〜〜〜〜〜アァ?!分かってんのか?!テメーの大学に『こいつは寮費の支払いもしないだらしない人間です』って電話してやろうかァ?あ〜決めた。絶対電話すっから。

絶対電話すっからな!!!!!!

「ウィッス」

 

公共交通機関ババア

バス・トラム・メトロに出没するババア。荷物もデカいがババアそのものも相当デカい。乗客で混み合う車内を肉団子みたいな図体を揺らしながら無意味にモリモリ移動したがる。一体どこに向かっているのだろう?以前メトロに乗っていた際、駅で一気に人が降りて5人分くらい席が空いたので一緒にいた友人と座ろうとしたら乗り込んできたババアが「はいありがとう!ありがとう!」と言いながら我々を押しのけ後から来る連れの分まで席をぶんどりよっこらせと満足げに座った。日本でも時たまこういうババアに遭遇することはあるがロシアのババアは「自分は年寄りだから譲られて当たり前」とかでなく「私が座りたいから座るんじゃい」という感じでとても力強い。ムカつくものはムカつくけど元気でいいな、とも思う。でもやっぱりムカつく。

 

次回は悲しきロシアの男たち編です。

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今は心穏やかに母親の到着を待ちたい。