脳死判定の恋

23回目のクリスマス、脳死判定の恋を抱えている。私が送ったLINEが既読スルーになって2日半。終わらせようと思えば終わらせられる。というか、すでに息はない。が、まだ終わってないと言い張ることもできる。たまたま無限に返事がこないだけだ。永遠にフラれないし、実りもしない。マッチングアプリで知り合って食事をしたのが1週間前。恐ろしく顔が好みだった。そんなもん好きになるやろがい。2時間弱の会話の中からヒントを拾い上げ、インターネットラブサーチ。結果、Facebookアカウント、出身大学、学部、サークル、ツイッターアカウント(鍵)、インスタグラムアカウント(鍵)を突き止めた。FBIに転職しようかな。政府は税金を投じて一刻も早くネトスト更生施設を南青山に作るべきだ。このブログを書きながら何度もLINEを確認しているけどもちろん返事はきてない。勢い余って胸まであった髪をバッサリ切った。私のこういうところは分かりやすくてカワイイと思う。かわいくないですか?右耳の軟骨ピアスに何度もハサミが引っかかり痛くて屁が出そうになったがグッとこらえた。涙みたいに言うな。は〜。何がダメだったんだろう。ひとつひとつ思い出そうとする。ニットは毛玉だらけだったし、サラダ取り分けなかったし、眉毛の周りに産毛めっちゃ生えてたし、直前まで「土屋太鳳 性格」で検索してたし。思い当たる節がありすぎて何から手をつけたらいいかわからない。マッチングアプリで今まで2人の男性に会ったこと、どちらも何か違うなと思って連絡を取っていないこと、男性と付き合ったことがないこと、キスしたこともないこと、酔っ払って手は繋いだことはあるけど1度きりでそれからその男性とは会ってないことなど、私の手札のカードは全て晒したのに「壁を作っている」「本心で話してほしい」と言われた。壊れるほど愛しても1/3も伝わらないって、これか?私はめちゃくちゃ好きな顔の男性とお酒が飲めて最高の気分だったのに全然届いてなかったんだ。これからは1分に1回は好きだなって言おう。舘ひろしになろう。咲が生まれた年のワインを入れよう。世の中のカップルたちがどうやって交際にこぎつけているのか本気で知りたい。山川出版から教科書を出してほしい。上から鉛筆でなぞるから。マッチングアプリも友達の紹介も合コンも、おなかいっぱいだ。疲れ果てた。疲れ果てるほど数をこなしてるわけでもないのに。今年のM-1でギャロップがM-1グランプリを勝つための4分半の筋肉がない、と言われていたけど私も恋愛の筋肉がない。トレーニングの方法を知らないからネトストの筋肉だけが異様に発達したいびつなボディビルダーになってしまった。昔マッチョを育成するクソゲーでめちゃくちゃ首が太い化け物をつくってしまったことがあるけど今の私はそれだ。クリスマスが終わると間もなく誕生日がやってくる。24歳にはさすがにもろもろ卒業してるだろうと思っていたが現役続行の見通しだ。24連覇を達成し私は伝説の首マッチョになる。